シェムリアップで観光ライド

2019年1月、カンボジアのシェムリアップに出掛けた。アンコール・ワットなどの世界遺産の観光が目的ではあるが、趣味と実益、そして実践的研究を兼ねて自転車に乗ることも忘れはしなかった。そもそも当初の計画では、ベトナムのハノイから自転車で国境を超える魂胆だった。しかし、ハノイのスクーター洪水と郊外のデコボコ道路に閉口して、素直に空路でシェムリアップに向かった次第。

現地ではまず、市街地のショップに赴いて自転車を借りる。グレードは不明だが、GIANTのマウンテン・バイクXTCが1日12ドル(約1,300円)。より安価なレンタル自転車もあるが、ロード・バイクは扱っていない。手続きは簡単で、手慣れた様子で自転車の調整をしてくれる。左右のブレーキ・レバーと前後の車輪との関係が、日本とは逆。ちなみに、観光客向けの自転車ガイド・ツアーも行っているそうだ。

シェムリアップは観光地として治安が良く、道路事情も悪くない。特にアンコール地区や市街地は自転車で回るのにはちょうど良いサイズ感。常夏の乾季とあっては楽園のように過ごしやすく、自転車で風を切って走るのは快適極まりない。マウンテン・バイクなので時速20km前後でのんびり巡行する。ただ、日差しが強いことと土埃がひどいことには対策が必要。水分補給も忘れずに。

また、別のショップでは電動自転車、いわゆるモペッドを借りた。1日10ドル(約1,100円)なので、自転車よりも安い。これはペダルがあるものの、漕ぎにくい。メインは電動モーターで、ハンドルをひねってパワーを制御する。つまり実質的には電動スクーターであり、労せず時速30kmほどで走り続ける。運転免許は不要で、運転は簡単。バッテリーは一日保つが、提携店でバッテリーの無償交換も可能。

このようにして特にトラブルなく、シェムリアップでのライドを楽しんだ。自転車も自動車も右側通行であることにも、すぐに慣れた。少し面食らったのは、ラッシュ時の市街地での喧騒ぶり。交通量が多くて大混雑するだけでなく、あちこちで逆走や割り込みが勃発するカオス状態。目が回りそうになるが、意外に混乱はなく、お互いに軽妙にすり抜けていることに感心する。

ここで気付くのは、我々がいかに本来の能力を喪失しているかだ。それは肉塊や鮮魚が生々しいオールド・マーケットや、水上で100万人が暮らすトレンサップ湖でも感じられた。先進国とは言うものの、日本に住む我々の知覚や身体の能力は、いわゆる発展途上国の人々に比べて僅かしかない。安全を確保するために設けられた過剰な規則と管理が、私たちを衰退させていると思えてならない。

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