ポタリングのためのスマートフォン・カメラ

自転車に乗って街や郊外をのんびりと周遊することをポタリングと言う。「ぶらつく」「うろつく」といった意味だ。この時に欠かせないのが写真撮影。行き先で出会った面白い出来事や綺麗な景色を記録として残し、時にはSNSに投稿したいもの。ただ、大袈裟なカメラは相応しくないので、スマートフォンのカメラを使うことが多い。最近では驚くほど高性能なカメラが搭載されている。

そこで、代表的なスマートフォンの最新モデル、すなわちAppleのiPhone XSHuaweiのMate 20 Pro、そしてGoogleのPixel 3を使って同じ被写体を撮影した。ポタリングのように、いずれも手持ちで無造作にシャッターを切っている。専門的な解説はできないので、じっくり見比べて各機種の特性を感じ取って欲しい。写真下部の機種名をタップするとオリジナルの写真が表示されるようになっている。

左から順にiPhone XS、Mate 20 Pro、Pixel 3

風景(城)

姫路城の天守閣を三国堀から臨んでの撮影。3月の晴天だったので、いずれもくっきりと細部まで描かれている。縮小表示ではMateの空のグラデーションが不自然に見える。

ズーム(天守閣)

上記と同じ位置から最大限にズームして天守閣上部を撮影。iPhoneとMateは10倍、Pixelは倍率表示がない。ズーム・レンズを備えていてもデジタル・ズームとの併用になるので、その補正が見どころ。

屋内(吹き抜け)

商業ビルKITTEの4階から建物内部の吹き抜けを撮影。天井が半透明ガラスの人工的な環境。直線を多用した幾何学的で微細な空間を、いかにシャープに捉えるかが課題。

近景(菜の花)

いかにもポタリングらしく道端の菜の花畑を撮影。この日は晴天であったので、いずれも鮮やかな印象の写真となった。微細で複雑な草花の写真は情報量が多く、ファイル・サイズも大きくなる。

静物(花束)

こちらは室内の窓辺に置いた花束を撮影。晴天の陽が薄いカーテン越しに差している。3機種それぞれ異なる雰囲気が現れている。生花にもかかわらず、造花のように見えるのが可笑しい。

料理(ランチ)

ポタリングの楽しみであるランチの料理を撮影。いずれも美味しそうに写っており、それぞれの個性も現れている。Mateは遠近感(ボケ)が強く、手前の野菜に焦点が合っている。

夜景(駅舎)

夜8時頃に東京駅丸の内北口駅舎を撮影。MateやPixelは自慢の夜景モードを用いた。iPhoneは夜景モードがなく、一瞬でシャッターを切るにもかかわらず、遜色ない描写をしている。

夜景(暗闇)

肉眼ではおぼろげにしか見えない暗い夜の山を撮影。夜景モードがないiPhoneでは映らない暗部まで、MateやPixelは描き出している。夜景モードでは、数秒かけて光を集めて画像合成する。

広角(風景)

最後にMateの広角レンズでの写真も掲載しておこう。広い範囲を捉える広角レンズは、その歪みを含めて独特の写真が得られる。他の機種は広角レンズを備えていないので、比較はできない。

考察(蛇足)

以上のように見ていくと、王道のiPhone、気鋭のMate、穴馬のPixel、とそれぞれの個性が出ているように思える。iPhoneはソツなく優秀だが、生真面目すぎて物足りない時もある。その反対に露骨に盛るMateは目に鮮やかながら、安っぽい雑誌のような没個性的な写真になりがち。そしてPixelは、何でも計算できると思っているGoogleらしい無茶ぶり。現状ではイマイチながら、今後に期待したい。

iPhoneは背面に2つのカメラ、Mateは3つ、Pixelは1つだけ、といったハードウェアの特性が取り沙汰されることが多い。だが、写真の仕上がりはソフトウェアとしての画像処理に大きく依存する。気軽なポタリングのための手軽なカメラの背後には、AIを含む高度なアルゴリズムがひしめいている。ワンタッチで得られる高品質の写真は、刺激を求め続ける砂糖漬け中毒を危惧するほど魅力的だ。

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