ラウシェンバーグのネオン自転車

JR立川駅を北に出て多摩モノレールに沿って歩く。タカシマヤを過ぎて右手を見ると、巨大な赤い鉢があり、その向こうに透明ケースに収まった自転車が鎮座している。訪れたのは夕暮れ時。まだ薄明るい中でネオンが輝いている。傍らには地下に続くスロープがあり、何人もの人が自転車を押して出入りしている。そう、ネオン自転車は地下駐車場を示すサインなのだ。

この地域はファーレ立川と呼ばれ、米軍立川基地跡地の再開発地だ。アートと一体化した街として構想され、36ヵ国92人109点のものパブリック・アートが点在していると言う。赤い鉢やネオン自転車もその一つであり、街の完成と同じくして1994年に設置。すべての作品は公共空間に置かれており、それとは分からぬ作品もある。周辺を歩いて見て回るのは楽しいに違いない。

さて、このネオン自転車はアメリカの美術家ロバート・ラウシェンバーグ「自転車もどきVI(Bicycloid VI)」。彼は芸術と日常とを繋ぐコンバイン・ペインティングで知られ、絵画に日用品を取り込んでいる。ネオン自転車もその延長線上にあり、生活の道具である自転車にネオン管を配して立体作品としている。今となっては珍しいネオンの輝きが、標本じみた自転車を鮮やかに彩る。

ラウシェンバーグはどの程度自転車好きだったのだろう。Bicycloidシリーズなど同様の作品があり、自転車が描かれた油絵版画、フレームを組み込んだ立体物、車輪を収めたなども制作している。ただし、いずれも自転車の疾走感には程遠い。あくまで美術作品であり、鑑賞する対象だ。これをもう一歩進めて何をすべきだろうか。やがて夕闇があたりを覆い、自転車は消滅してネオンが浮かび上がった。

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