自転車という名のトランプ

ある時、トランプのケースに記されたBICYCLEの文字に目が留まった。トランプ、と言ってもフロボッツが予言した権力者ではなく、ゲームや手品に使われるカードのこと。裏面やジョーカーには自転車の絵が描かれている。ひとたび意識するようになると、多くの映画やビデオで同じカードが使われていることに気づく。随分と人気があるようだ。しかし、自転車との関係は釈然としない。

そこで調べて見ると、BICYCLEはU.S.プレイング・カード社のブランドで、鮮やかにカードを切る手品やポーカーの定番らしい。日本ではバイスクルと表記する。創業された1885年当時に自転車が人気を博していたので、それを商品名に与えたと言う。この年、今日の自転車と同型のセイフティー型自転車が発売されている。Bicycleという言葉自体も生まれて間もない頃だ。

さて、このバイスクルのトランプには、製造場所によってOHIO(オハイオ)製かKY(ケンタッキー)製がある。OHIO製のほうが古く、手品に適した紙質らしい。材質では、紙製のエアー・クッション仕上げが滑りが良いが、耐久性は悪い。プロなら何度か使うと新品に替えるらしい。耐久性のあるプラスティック製はイマイチ滑らない。ただ、イカサマがしにくいのでカジノではプラスティック製が多いと言う。

一般的なザインにはSTANDARD、RIDER BACK、MANDOLIN BACKなどの種類がある。もちろん、ここではSTANDARDまたはRIDER BACKを選ぶ。カードの裏面が自転車に乗った天使で、ジョーカーも自転車に乗っている。一方、MANDOLIN BACKはカードの裏側がマンドリンをかかえた天使なので、これはダメ。自転車との関連がジョーカーだけになっているのが残念。

BICYCLE Rider Back

さらに、特別にデザインされた製品もある。CYCLISTはスプロケットやクランク、車輪が描かれたメカニカルな雰囲気で、バイスクルの由来も説明されている。AUTOBIKE NO.1は20世紀初頭のデザインの復刻版で、当時既にモーター付き自転車があったことを物語っている。また、ECO EDITIONは材質や色柄を抑えたエコ仕様で、自転車に乗って疾走する天使が可愛らしい。

BICYCLE Cyclist
BICYCLE Autobike No.1
BICYCLE Eco Edition

エアー・クッションのバイスクル・トランプを手に取ると、カードが手からこぼれ落ちるほど滑らかな感触で気持ちが良い。意味もなく手品師や占い師のようにカードをシャフルしたり、扇形に広げたくなる。そこで思い当たった、なぜ天使が自転車に乗っているのか、を。翼を持つ天使が乗りたくなるほど、自転車は滑らかだ。それと同じようにバイスクルのトランプは軽妙だと言いたいのだろう。同意する。

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