続・シマノの電動アシストSTEPSの実験

【注意】本稿では電動アシスト自転車のスピード・センサの動作を確認し、機構を変更している。改造やハックと呼ぶにはおこがましいが、予期せぬ故障を引き起こし、メーカの保証を受けられない可能性がある。また、公道で走行すると道路交通法違反になる。無人の私道などでの走行であっても、十分に安全に配慮すべきだ。筆者は一切の責任を負わないので、同様の試みは自らの責任で行って欲しい。

前回ミヤタのRidge Runnerの速度センサーをクランクの回転によって動作させた。本来、速度センサーは車輪の回転を検出して速度を推定するのに対して、クランクの回転では挙動が異なる。ペダルを漕ぐのを止めればクランクの回転は即座に止まり、次に漕ぎ始めれば急に回転が始まる。これが車輪なら、有り得ないほどの急ブレーキと急発進になる。このような速度変化は電動ユニットに悪い影響を与えそうだ。

しかも、シマノの電動アシスト・ユニットSTEPSのエラー・コード表を眺めていたところ、E014として「速度センサーが間違った位置に取り付けられています」が定義されていた。まるで素人の浅知恵をあざ笑うような周到さ。これは推測に過ぎないが、STEPSはケイデンスとしてクランクの回転速度を把握しているので、この値と速度センサーの値の比率を監視しているのかもしれない。

E014 – Speed sensor may be installed in the wrong position

Restrictions:
No power assist while riding.

Remedy:
Amend position of speed sensor and magnet unit, turn on power and rotate crank clockwise until error resolves. This may take up to 100 rotations.

エラーを引き起こすか否かはともかくとして、急激な速度変化の影響を避けるためにも、実走に近いセンシングを行うほうが良いだろう。そこで、既に実績のある車輪の回転を減速して検出する方法を試してみる。ただし、いきなりモデリングして3Dプリントする技量はない。そこでプロトタイピングの定番レゴを使う。マインドストームと拡張セットにはプーリーや歯車が揃っているので、お誂え向き。

プーリーの直径22mmに対して、Ridge Runnerの後輪軸は直径37mm。プーリー比は0.59となり、その逆数が回転速度比なので、これでは減速ではなく加速してしまう。そこで、プーリーから2つの歯車による減速機を取り付ける。速度センサー用の磁石を取り付ける大きな歯車の歯数は40、小さい歯車の歯数は8で、ギア比は5.0。プーリー比とギア比を掛けると、0.59×5.0=2.97となる。

プーリー比=被駆動側の径÷駆動側の径 
ギア比=被駆動側の歯車数÷駆動側の歯車数
(プーリー比の逆数が回転数や回転速度の比になる)

レゴの部品を組み合わせるのは簡単だが、スムースに動くように取り付けるには苦労する。Ridge Runnerのチェーン・ステーは湾曲しているし、スポークとの空間は狭く、ブレーキのディスクが迫っているからだ。あれこれブロックを組み替えては取り付け直し、なんとか安定して動作するようになった。減速機はチェーン・ステーにタイラップで留め、プーリーと後輪軸とは輪ゴムで繋いでいる。

この減速機を用いると、実際の速度の1/3程度として検出されるはず。だが、実際には1/4程度になった。輪ゴムが後輪軸やプーリーで滑って、効率が落ちているのだろうか。ともあれ、これでは減速が大き過ぎると感じた。そこで、ギア比を下げるために、小さい歯車として歯数16の歯車に取り替える。これでギア比は半分になる。速度としても1/2程度に検出されるようになった。

レゴでは僅かに曲げたり、僅かにズラすことは難しい。それゆえに、湾曲したチェーン・ステーに取り付けた減速機の動作は心もとない。常用するのであれば、さらに工夫が必要だろう。ともあれ、人のいない私有地での走行では特に問題なく、高速域でも強力にアシストされた。ペダルを漕がずに慣性走行する場合も、妥当な速度変化になる。このような機構でE014エラーを回避できるだろうか? 

なお、レゴのマインドストームは比較的高価なので、この実験のためだけに購入するのは憚られるかもしれない。そこで、プーリーや歯車が数個含まれる「Lego Crazy Action Contraptions」という製品も用意されている。子供向けの知育玩具ながら、動力の伝達や操作について様々な活用方法を実際に試すことができる。自転車に関連する機構も多いので、アイディアを膨らますのに良いだろう。お薦めしたい。

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