ロゴのない自転車、NO LOGO BIKESのロゴ

北欧の初夏は日が暮れるのが遅い。世界最高の自転車都市コペンハーゲンでは、レストランからバーやカフェへと渡り歩いても、まだ空は明るい。橋の上で馬鹿騒ぎする集団をやり過ごして、中心街に戻ったところで驚いた。小さな自転車ショップに掲げられた店名が「NO LOGO BIKES」だったからだ。ウィンドウ越しに覗くと、店内の自転車はロゴがなく、すっきりとして美しい。

それも一台や二台ではない。店のすべての自転車にロゴがないのだから、まるで楽園のよう。醜悪なロゴだらけの自転車に毒された視覚が浄化される。全世界のショップと全世界のメーカーは見習って欲しい。既に店が閉まった時刻であり、翌朝は早く空港に向うのが残念だった。そうでなければ、店員に称賛を浴びせるとともに、根掘り葉掘り質問したに違いない。

そのようなわけで、直接話しを聞くことができなかった。後で調べると、NO LOGO BIKES はロンドンのイースト・エンドにある自転車メーカーで、シングル・スピード専業と言う。ロゴもなければ、変速機もないシンプル路線。モノトーンもあれば、ビビッドでカラフルな色使いもある。価格は£200〜270(約30,000〜40,000円)なのでリーズナブル。ロンドンでデザインし、中国で生産しているらしい。

不覚にも、ロンドンではNO LOGO BIKESの自転車を見かけなかったし、コペンハーゲン以外のショップを知らない。いや、遭遇しても、それがNO LOGO BIKESだとは分からない。シンプルでお洒落な自転車だと思うだけだ。コペンハーゲンとロンドンの繋がりを辿れたのは、ロゴが同じだからに他ならない。何とも皮肉だが、それでもロゴは全力で拒否しよう。ロゴなし万歳だ。

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