アクション・カメラのスタビライズ比較

360度全天球カメラのスタビライズ比較を行ったからには、アクション・カメラのそれも気になる。経験的はSony FDR-X3000Rが優秀だと思っていたが、本当にそうだろうか?Sonyの光学式手ブレ補正はGoPro FusionやHero6の電子式手ブレ補正より優秀だろうか?光学式手ブレ補正と言えば、iPhoneにも備わっているではないか、などなど疑問と興味が頭をもたげてくる。

そこで、前回と同じ全周約1kmのタイル敷き歩道をBromptonで走行して撮影を行った。急激な加速や回転は避けて、時速20kmを保つようにした。アクション・カメラはハンドル・バーの中央付近に取り付ける。ビデオの設定は1920×1080ピクセル、30fpsで手ブレ補正はオン。できるだけ堅固に固定したが、走行中にカメラが小刻みに震えているのが見て取れる。このような状態で撮影したビデオを見てみよう。

DxO One

DxO Oneの本体には取付機構がないので、Outdoor Shellに入れてマウンタに固定した。それはともかく、手ブレ補正が備わっていないDxO Oneの映像は激しくブレている。路面からの振動の激しさが如実に分かる結果となった。DxO Oneは1インチ・センサーによる高品質の写真撮影カメラだ。だから、アクション・カメラのような振動の押さえ込みは、期待するほうが酷と言うべきだろう。

Sony FDR-X3000R

期待の光学式手ブレ補正を備えるSony FDR-X3000Rは、タイル舗装での細かい振動は軽減しているものの、段差で生じる大きな動きを解消できていない。本体底面の三脚ネジが後方にあるので、ブレ易いのかもしれない。見比べれば、GoPro Fusionの電子式手ブレ補正のほうが明らかに優秀だ。通常の舗装道路であれば、素晴しい映像が得られるだけに、意外な結果であった。

GoPro Hero6 Black

GoPro Hero6は電子式手ブレ補正を備えている。これはGoPro Fusionには劣るが、光学式手ブレ補正のSony FDR-X3000Rと同等か、それ以上に振動を抑え込んでいる。一般に電子式手ブレ補は画像が劣化するが、モーション・センサーの精度や画像補正のアルゴリズムによって、強力な補正が行われていることが分かる。なお、Hero6のウリである4K/60fps等では、補正が効かないので要注意。

Apple iPhone X

光学式手ブレ補正と優秀な画像処理によって、Apple iPhone Xは凡百のコンパクト・カメラを凌駕する。だが、路面振動は補正できず、小刻みに映像が歪んでブレる残念な結果となった。これは、iPhone Xのマウンタが伸び縮みするシリコン・ゴムで固定する機構であったことが大きく影響している。他のカメラと同程度にiPhone Xを強固に固定するマウンタが入手できれば、もう一度検証を行いたい。

以上の結果を踏まえれば、改めてGoPro Fusionのブレ補正能力の優秀さが確認された。移動体の過酷な条件での撮影であれば、高画質である以上に、ブレのない映像が重要になる。一方で、画像の乱れは激しい動きの反映であり、臨場感を高める。GoPro Fusionの映像は滑らか過ぎて、自転車走行には見えないとも言える。この相反する要求を満たす新しい撮影技術が求められているに違いない。

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