360°全天球カメラのスタビライズ比較

360°全天球カメラ(以下360°カメラ)で撮影した映像を、HMD(ヘッド・マウント・ディスプレイ)で見ると、あたかも撮影された場所にいるかのように感じる。そこで「The Ridable City」では、360°全天球カメラをヘルメットに載せて自転車で走行しながら撮影した。その映像を固定ローラの自転車を漕ぎながらHMDで見れば、ロンドンの街を仮想ライドできるわけだ。

この映像はRicohのTheta Sを使って撮影した。解像度が低いことも不満だったが、それ以上にブレが酷く、映像に酔ってしまうことが問題であった。その後登場したInsta360 Oneは、モーション・センサーを使って映像のブレを相殺する安定化(スタビライゼーション)機能を備えていた。以下のビデオは、その効果を如実に示している。回っているのはドローンではなく、実際にはカメラだ。

ここでは最近の3つのカメラの安定化機能を検証する。自転車でのブレには、自転車が路面から拾う振動と、左右確認などでの頭の動きの2種類がある。そこで、路面振動については、カメラをハンドルバーに付けてタイル敷きの歩道を走行した。また、頭の動きについては、カメラをヘルメットに取り付けてアスファルトの車道を走行した。前半は頻繁に頭を動かし、後半は頭を動かさないようにした。

Insta360 One

Insta360 Oneの登場時には6軸モーション・センサーによる強力なスタビライズが話題を呼んだ。これはFlowStateへと進化したが、それでも路面振動を抑えるには至っていない。また、スタビライズは手ブレ補正のオン・オフだけで、空間的な向きが固定される。これは、頭の動きを相殺するが、Uターンすると後方を見ることになる。進行方向が考慮されないことは、自転車的には嬉しくない。


ハンドルバーに装着したInsta360 Oneの映像


ヘルメットに装着したInsta360 Oneの映像

Insta360 Oneアプリの映像設定

Garmin VIRB 360

無骨で多機能なGarminのVIRB 360は、9軸モーション・センサーとGPSを備えている。これらのセンサーを活用して、画像安定化は5種類もある。自転車走行には「経路をたどる」が最適で、常に進行方向を維持し、頭の動きも気にならないほどに相殺する。しかし、路面からの細かい振動は打ち消せない。ペダリングなのか、僅かに左右の揺れもある。自転車向けのカメラだから、これは改善して欲しい。


ハンドルバーに装着したGarmin VIRB 360の映像


ヘルメットに装着したGarmin VIRB 360の映像

VIRB Editアプリのスタビライズ設定

GoPro Fusion

最近登場したGoProのFusionも9軸モーション・センサーとGPSを備えている。シンプルさが信条のGoProらしく、スタビライゼーションはNone、Anti-Shake、Full Stabilizationの3種類のみ。自転車走行であればAnti-Shakeを選ぶと良い。これで路面振動は嘘のように消え去る。その滑らかな映像は異次元感すらある。また、進行方向が維持されるが、頭の動きは緩和される程度であるのは残念。


ハンドルバーに装着したGoPro Fusionの映像


ヘルメットに装着したGoPro Fusionの映像

Fusion Studioアプリでの映像設定

このように画像安定化機能では、明らかにFusionが優秀だ。しかし、顔を頻繁に動かす状況ではVIRB 360が良いし、Insta360 Oneの軽量さは他を圧倒している。つまり、一長一短でドングリの背比べ状態。また、解像度も4K以上となったが、レンダリングに時間がかかる。3分弱のFusionの4K映像出力は、iMac Pro(Xeon 3.2GHz、8コア)で20分近くかかる。これでは創作意欲を削いでしまう。

左から順にInsta360 One、Garmin VIRB 360、GoPro Fusion
手前は比較のために置いたGoPro Hero6

【追記】スタビタイズ機能の違いが把握しやすいように、6種類の映像を撮り直した。これに伴い、文章も一部修正している。(2018.04.19)

【追記】iPhoneのSafariなど、ドラッグして周囲を見回す360°動画に対応していない場合は、YouTubeアプリで正しく視聴できる。macOSのSafariは360°動画に対応している。また、本記事の最初のロンドンでの走行動画は全体像を見るために360°動画にしていない。(2018.04.20)

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