バイク・ハックの多輪自転車

養老アート・ピクニックのプログラムのひとつとして、バイク・ハックと名付けた自転車関連のイベントを行った。これは江戸時代の自転車を現代の技術でリメイクするプロジェクトが発端。その新製陸舟奔車が三輪であったことから、現在市販されている三輪自転車も同時に展示して試乗してもらおうと考えた。自転車と言えば二輪車との固定観念を崩す狙いもあった。

実際に展示と試乗を行ったのは4台で、デンマークXYZ CargoのTrike、イギリスICEのSprint 700X、ブルガリアKoleliniaのHalfbike、そして日本IAMASの「新製陸舟奔車 2017」だ。さらにママチャリ系の三輪自転車を加えることも考えられる。しかし、何台か試乗したところ、乗りこなすのが難しく、楽しさが感じられない。それはそれで考察に値するが、今回のイベントには合わないと判断した。

さて、XYZ Cargo Trike本邦初公開、類似した自転車を見かけないはず。それにも関わらず、誰もが違和感を覚えず、すぐに乗りこなしていたのが印象的。特に説明しなくても、荷台に鞄を入れたり、人が乗り込んでいるのは、カーゴ・トライクの優れたアフォーダンスだろう。総重量はかなり重くなるが、非力そうな人でも楽しそうに軽々と漕いでいる。小さな子供でも、立ち漕ぎで乗りこなしていた。

ICEのSprint 700Xは、同社のSprint Xをベースにしたリカンベント・トライク。後輪を700Cに変更するなどカスタマイズしている。いわゆるローレーサーで、空気抵抗が小さいのでスピードが出る。重心が低いので安定感が良く、爽快な走行感が得られる。4台の中では、最も簡単に乗ることができ、素早く自由に走り回れる。ただ、シートにもたれてペダルを回すので、立ち漕ぎはできない。

Photo by Ryu Furusawa

4台の中で最も人気が高かったのが、Halfbikeだ。他の3台は簡単に乗れるし、無茶をしても転倒しない。一方、Halfbikeは漕ぐとすぐに倒れてしまう。多少直進できても、曲がろうとするとバランスが崩れてしまう。簡単に乗れそうで乗れないのが悔しい。なんとか乗れれば拍手喝采。つまり、難しいからこそ、熱中するわけだ。幼い日の自転車に奮闘した日々が蘇る。

Photo by Ryu Furusawa

最後の「新製陸舟奔車 2017」は、鉄棒を溶接した複雑なフレームを持ち、三輪どころか六輪車という重量級の異形の自転車。いや、自転車ではなく工作機械か兵器のようだ。ただ、見た目の重厚さに反して、サスペンション付きなので乗り心地はソフトで楽しい。クランク構造なのでペダルが車輪に直結し、反対に回せば後退するのも面白い。この自転車も得体が知れないがゆえに人気を博していた。

このように四車四様の自転車が一堂に会して試乗できる貴重な機会になった。初めて見るタイプの自転車ばかりだったはずだが、誰もが嬉々として乗りこなそうとする。歓声が上がり、驚嘆し、会話が弾む。芝生の上での試乗なので、万一倒れても安心だ。久しぶりに自転車に乗った、このような自転車が欲しい、といった声を多く聞いた。時折降る小雨をものともせず、ペダルを漕ぐ人たちは笑顔に溢れていた。

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