ハイテク・ノマド野郎のハイテク・リカンベントBEHEMOTH

アメリカ西海岸、マウンテン・ビューはGoogle本社があることで有名。ここで緑ロボットと戯れるのも良いが、もうひとつ外せないのがコンピュータ歴史博物館。クルマなしでは不便極まりないし、ロクに観光資源もないシリコンバレーまで来る人は、何らかのIT関係者だろうから、ネタの宝庫であること間違いなし。しかも、奇妙きわまりない自転車まで鎮座している。何コレ?と目を丸くすること請け合い。

この機材満載の白いリカンベントは、スターウォーズに登場する砂漠の惑星タトゥイーンあたりから運ばれたように思える。先頭の大きなカウル(風防)はエイリアンの頭部を思わせる造形。博物館所蔵だから、歴史的な意義があるのだろうが、どこかウソっぽく、笑いがもれてしまう。B級SF映画のセットから拝借したハリボテと言われた方が納得してしまう。レトロ・フューチャーな夢の残滓のよう。

これはハイテク・ノマドを謳うSteven K. Roberts氏によるBEHEMOTH (Big Electronic Human-Energized Machine, Only Too Heavy、1989)。当時のコンピュータとワイヤレス通信が組み込まれ、ソラーパネルを備えたトレーラーを牽引して、総重量は580ポンド(263kg)に達する。このような歴代3台の自転車で17,000マイル(2,735km)にも及ぶ旅をしながら、文章を書いては出版社に送信していたらしい。

同氏のNomadic Research Labsサイトによれば、最初に作られたWinnebiko(1983)はソラーパネル程度だが、続くWinnebiko II(1986)では前輪部にトグル・スイッチやプッシュ・ボタンを満載したコンソールが備わる。そしてBEHEMOTH(1989)はMacintoshと液晶ディスプレイを搭載。Macintosh Portable(1989)と同時期だから恐れ入る。

さて、今日では同等の機能はiPhoneをハンドル・バーに装着すれば事足りる。同等どころか100万倍は高性能だろう。サイズや重量も劇的に減少した。移動先でオフィスと変わらぬ作業環境が手軽に得られるようになった。いつでも、どこでもコンピューティング。それがハイテク・ノマドと言えば、その通りだけれども、ちょっと物足りない。移動中のコンピューティングは困難なままだからだ。

BEHEMOTHでもThe Brain Interface Unitと呼ぶヘルメットに統合された入出力機能を備えている。これまたB級SF映画のような外観だが、Siriのような音声インターフェースや、Reconのような単眼ディスプレイ(HMD)に他ならない。しかし、30年近くも経ちながら、いずれも十分には実用化されていない。それは本質的な問題や矛盾を抱えているのだろうか?まず、そこから考えるべきかもしれない。

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