何はなくとも自転車にポンプ、据置型4種

もっとも欠かせない自転車用道具はタイヤの空気入れ、ポンプだろう。タイヤの空気が減ると、乗り心地が悪くなるだけでなく、パンクしやすくなる。特に空気圧を高く設定するロード・バイクのタイヤは空気が減りやすい。指でタイヤを押して、まだ硬いと安心してはならない。手には感じられなくても、2〜3日もすれば適正空気圧より下がっている。筆者は何も考えずに、乗る前に必ず空気を入れている。

タイヤに空気を入れるには、当然のことながら、ポンプが必要になる。ポンプには、自分の自転車のバルブにあった口金が必要。ロード・バイクならバルブは仏式(フレンチ)で、マウンテン・バイクなら米式が多い。安価なポンプはママチャリの英式にしか対応していないので要注意。口金はレバー式より、ネジ式のほうが使いやすい。いずれもコツがあるので、バルブに取り付ける練習をしておく。

また、空気圧のメータが付いているポンプが良い。ママチャリの英式バブルは機構的に空気圧が測れないが、仏式や米式はメータを見ながら、適正な圧力になるように空気を入れる。空気圧の推奨値はタイヤの側面に示されている。筆者が常用するContinentalのGranPrix 4000SIIなら、最大空気圧が8.5bar/120psiと記されている。これより少し低めにしても良いが、筆者は目一杯の空気圧が好み。

さて、ポンプにはライドに持参する携帯型と、自宅などで使う据置型とがある。両方揃えるのが良いが、まずひとつなら据置型だ。携帯型は小型で軽量なので空気が入れにくく、適正空気圧まで入れるのが大変。これは非常用であって、日常的に使うには適さない。そこで、自転車の保管場所に置くのは据置型ポンプとなる。ライド前に毎回空気を入れる習慣付けるのが良いだろう。

据置型ポンプには何種類かあるが、もっとも一般的なのはフロア・ポンプと呼ばれるもので、手でハンドルを押し下げるタイプだ。これには数多くの製品があり、値段の幅も広い。ただ、値段相応であることも確かで、高価格のフロア・ポンプは機械的な精度が高い金属製なので、比較的楽に空気を入れることができる。筆者はBirzmanのMAHA APOGEE Ⅲを使っている。

タイヤに空気が入っていない時は、ハンドルを軽く押し下げることができる。だが、空気圧が上がるにつれて、力を入れてもハンドルが下がらなくなる。華奢で腕の筋力がない人は、100psiあたりでギブ・アップしてしまう。この時、ハンドルに飛びかかるように全体重をかけたくなる。だが、バランスを崩して転倒しかねないので、これはご法度。しかも、体重が軽い人なら、これも効き目がない。

足で踏んで空気を入れるフット・ポンプは、体重をかけて空気が入れやすいように思える。しかし、真下に踏むタイプのフット・ポンプは、意外に力をかけることができない。もちろん、飛び乗るように体重をかけるのは、危険極まりないので厳禁。しかも、フロア・ポンプ以上にバランスを崩しやすい。このタイプのポンプは小型なのが利点だが、フロア・ポンプより空気が入れにくいだろう。

一方、同じフット・ポンプでも、大きなテコ式の足踏みレバーと大きなシリンダーが付いたタイプは、かなり空気が入れやすい。なにしろ、前述のポンプでは、いくらがんばっても適切な空気圧まで空気を入れられなかった人が、このポンプなら、なんとか120psiまで空気を入れたほどだ。重量があり、接地面積が広いので、安定感もある。比較的大型なので収納には適さないが、華奢な人にはこれしかない。

自らの力でタイヤに空気を入れるのが難しい場合は、機械の力に頼る。UM社のSmart Air Pump M1は、USBで充電した内蔵バッテリーで駆動する電動コンプレッサーだ。バルブに口金具を取り付け、お望みの空気圧を設定すれば空気注入開始。ポゴポゴと可愛らしい音をたてながら、数分かけて空気を送り込む。これはお手軽とは言え、最大空気圧100psiはロード・バイクに心もとない。

以上のように、据置型のポンプには数種類あり、実際の製品数もかなり多い。その中でも、最大空気圧が120psi程度になれば電動式が理想的だろう。据置きに限定して、コンセント式にすれば価格も下げられそうだ。ダンロップが1888年に空気入りタイヤを発売して以来、私たちは130年近くもタイヤに空気を入れ続けている。ポンプにも様々な工夫が凝らされているものの、決定打がないのが現状だ。

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