ワイヤレス・ユニットでキメラ・ネットワーク

Di2のシンクロシフト化とともに、新型ワイヤレス・ユニットEW-WU111を取り付けた。これは、スマートフォンからDi2のファームウェアのアップデートや、Di2の各種設定を行うためだ。このユニットは思いのほか有用で、Di2のキメラ的オペレーションが可能になった。例えば、ハンドルのレバーの上端にあるスイッチを押すとライトが点灯する。このような操作信号の流れを図式化した。

ギア・シフトやブレーキを行うSTIレバーはDi2の構成パーツなので、その上端にあるスイッチの信号はDi2に届く。これは図の(3)の信号で、黒い実線はワイヤーでの伝達だ。この信号はワイヤレス・ユニットから、サイクル・コンピュータのGarmin Edge 820J(以下Garmin)に伝えられる。赤い点線はANT+の無線信号。そして、図の(4)のようにGarminがANT+対応のライトを点灯させる。

図の(4)は従来から使用できたが、それをスイッチに結びるのがワイヤレス・ユニットとGarminだ。ただし、Garminは設定を行うだけで、無線信号はワイヤレス・ユニットから直接ライトに送られているのかもしれない。ともあれ、本来無関係である製品が連動するのは楽しい。筆者はスイッチを短く押すとGarminの画面切り替え、スイッチを長く押すとライト切り替えに設定している。

同じように、レバーを操作するとディレイラーが動いてギアを変更する。この図の(1)の信号は本来のDi2の機能だ。そして図の(2)では、現在選択されているギアがワイヤレス・ユニットを経由してGarminに伝えられる。走行中にギアの状態を確認するのは難しいだけに、それがGarminの画面に数値や図として表示されるのは有り難い。これは上り坂でのシフト・アップ戦略に欠かせなくなる。

図の(5)では、スピードやケイデンスのセンサーのデータをGarminに送り、Garminで表示して記録する。Garminが記録したデータは、図の(6)によって、スマートフォトンで確認し、クラウドに送る。この青い点線はBluetooth LEDの無線信号だ。これらは従来から可能だった。そして図の(7)のように、ワイヤレス・ユニットによってスマートフォンからDi2の各種設定が行える。

このようにワイヤレス・ユニットはDi2とGarminやスマートフォンを結びつけ、多彩な操作や表示を可能にする。ただ、その設定をどこで行うのかは、しばしば混乱する。スマートフォンがすべてを統ぶべきと考えるが、自転車では根強いANT+の無線信号を扱えるスマートフォンはほぼ存在しない。かくしてキメラ・ネットワークができあがる。シンプルさを至上とする自転車には、あるまじき事態だ。

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