情報科学芸術大学院大学 紀要 第8巻「特集:クリティカル・サイクリング」

情報科学芸術大学院大学(IAMAS)の紀要、その第8巻が先日刊行された。藍に近い深い青の表紙は端正で重厚でありながら、どこか爽やかな印象を与える。この表紙を見るだけで、何か不思議な感覚を覚えるかもしれない。研究機関の刊行物にありがちな退屈な凡庸さがないからだ。そして表紙をめくると不思議さが最高潮に達する。「特集:クリティカル・サイクリング」…え?何これ?と思った人は正しい。

IAMASは、一般的にはメディア・アートの学校として知られている。そこで「批評的な自転車走行」と言われても、どのような関係があるのか皆目見当がつかないだろう。だからこそ、約1年前に始まったこの活動を、コンパクトにまとめて伝える必要があったと言える。特集の発案から責任編集まで、労を取られた松井茂氏、そして共同で執筆にあたったメンバーに感謝したい。

この特集は30ページ近くに渡り、クリティカル・サイクリング宣言、活動前史から直近までの活動概要と考察、ライドを含む一年間の活動リスト、2016年夏の展覧会の紹介、本サイトの記事一覧、ブラッキー中島氏の講義レポート、自転車関連の文献・映像リスト、走行ルートのヒートマップ、主要メンバーによる座談会、そして4篇のコラムから成っている。モノクロの写真も豊富に掲載されている。

なお、この紀要は無償で配布されている。入手をご希望の方は、IAMAS事務局に問い合わせていただきたい。クリティカル・サイクリングのメンバーが、2ヵ月に渡って奮闘して書き上げた特集記事を、じっくりと読んでいただけることを願っている。もちろん、この紀要には特集以外にも「正統」な論文、研究ノート、評論などが掲載されている。合わせてお読みいただければ幸いだ。

【追記】無償でダウンロードしていただけるPDF版が公開されました。紙書籍版はモノクロですが、PDF版はフルカラーとなっています。情報科学芸術大学院大学紀要 第8巻からダウンロードしてください。(2017.04.21)

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