1974年型自転車のプログラミング環境

オーディオ・ビジュアルのためのプログラミング環境として、黎明期から存在し、現在も第一線で活躍しているのがMaxだ。このMaxという名称はコンピュータ音楽の父とも言うべきマックス・マシューズ(Max Mathews)にちなんでいる。そう、世界初のコンピュータ歌唱「Bicycle Built for Two(二人乗りの自転車)」の制作者の一人だ。そして、そのMaxを開発・販売しているのがCycling ‘74社だ。

Maxは特異なプログラミング環境だが、その開発元の名称がCycling ‘74と言うのも奇妙だ。実はこれ、同社のCEOにしてMaxのメイン開発者であるデビッド・ズィカレリ(David Zicarelli)が、Schwinn社の1974年型自転車に乗っているからだそうだ。だが、それを社名にまでする理由が良く分からない。1999年にMSPサマースクールとして本人を招聘した際にも尋ねたが、笑って誤魔化された。

そのSchwinnの1974年版カタログは、翌2000年にサンフランスシコにある同社オフィスを訪問した際に見せてもらった。その頃の同社WEBサイトは、このカタログから取られた写真を多用していた。当時としてもレトロ・アメリカンなグラフィックスで、これまたコンピュータ音楽にもプログラミング環境にも繋がらない不思議なセンスだ。このカタログは同社サイトにアーカイブされているので、たっぷり楽しんで欲しい。



さて、Bicycle Built for Two→Max Mathews→Max→Cycling ‘74という自転車繋がりは、こじつけかもしれない。だが、クラフトワークの最終到達点が自転車であったように、テクノロジーと音楽は少なからず自転車と関連しているような気がしてならない。もちろん、単純に2つの領域が重なっても不思議はない。ただ、ペダルや車輪の回転運動と音の最小単位であるサイン波のように、それは本質的な符牒かもしれない。

【追記】現在のMaxでも、dictionaryオブジェクトのサンプル・データは自転車用語で満たされていた。オールド・アメリカンなSchwinnのグラフィックスは数年前に消えたが、Cycling ’74の自転車好きは今も連綿と脈打っている。(2017.01.13)

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