ロンドン市長のサイクリング構想

サイクル・レボリューション(自転車革命)を標榜するロンドンは、市や交通局が積極的に構想案や報告書などの資料を公開している。これはWEBサイトから簡単にダウンロードすることができるし、デザイン都市でもあるロンドンならではの高いビジュアル・クオリティなので、パラパラと眺めているだけでも楽しい。その中から、今回は”THE MAYOR’S VISION FOR CYCLING IN LONDON“を取り上げる。

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これは「ロンドンでのサイクリングに関する市長構想」であり、サブタイトルは”An Olympic Legacy for all Londoners”、つまり「オリンピックの遺産をすべてのロンドン市民に」となっている。2012年に開催されたロンドン・オリンピックの関連施設や都市インフラを活用すべく、2013年6月に提言されている。冒頭には当時の市長であったボリス・ジョンソンの序言があり、こんな文で始まる。

想像してみよう、道路や鉄道での混雑をなくし、騒音をなくし、汚染と疾病をなくすものを我々は発明できるだろうか。それはすべての人の生活を改善するもので、すぐさま効果が現れ、新しく道路や鉄道を造るような費用や手間はかからない。そう、それを私たちは200年前に発明している。自転車だ。

楽しみとしての自転車への言及が少ないことに不満を覚えるが、豊富な事例と幅広い考察を元に問題解決手段として自転車の効果を論じている。行政関係者はもちろんだが、一般の人にとっても示唆に富んだ資料になっているので、一読をお勧めしたい。次の4つの観点から多彩な施策が展開されており、その多くが着実に成果を挙げているようだ。個人的な関心としては、電動アシスト自転車施策に期待したい。

  1. 自転車の交通ネットワーク
  2. 自転車により安全な道
  3. 自転車で移動する人の増加
  4. すべての人にとってより良い場所

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このレポートが示すように、ロンドンの自転車事情はオリンピックによって大きく進展した。ただ、それは建物や道路などのインフラの刷新が中心だ。一方で、オリンピックで所得格差が拡大し、市街中心部の住宅が高騰した。止むなく遠方に移り住んだり、失職や賃金の低下で自動車の維持を諦めたりと、消極的に自転車を使う人も多いと聞く。失態が続く東京オリンピックでは、より悲惨かもしれない。

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