自転車の走行センサー

自転車での走行状態を把握するために、スピード(走行する速度)やケイデンス(ペダルの回転速度)などのセンサーが用いられる。心拍数(心臓の鼓動の速さ)やペダル・パワー(ペダルを踏み込む力)といったセンサーもある。例えば、ロード・バイクの平地でのケイデンスの最適値は90rpm(1分間の回転回数)と言われているが、それを体感だけで一定に保つのは難しい。そこでセンサーを用いることになる。

センサーからのデータをサイクル・コンピュータやスマートフォンのアプリで表示するために、通信手段としてはANT+やBLE(Bluetooth Low Energy)が用いられる。サイクル・コンピュータではANT+が、スマートフォンでは標準装備されているBLEを用いることが多い。いずれもプロトコル(通信規約)が標準化されているので、一般的な製品であれば、どのコンピュータやアプリでも読み取ることができる。

筆者はスピードとケイデンスのセンサーとしてBontragerのDuoTrap Sを用いている。これは自転車のフレームに内蔵されるが、WahooのBlue SCといった外付け型もある。これらはスポートとクランクにマグネット(磁石)を取り付けて磁力をセンサーで読み取る。一方、WahooのRPMシリーズのようにジャイロを使って回転数を検出するセンサーもある。こちらは磁石が不要だ。

DuoTrap S by Bontrager
DuoTrap S by Bontrager

センサーからのデータ表示にはsoneruのLiveCyclingを使っている。筆者が同社の顧問である点は割り引いても、このアプリは視認性が高く、美しい表示だと思う。動作が軽快で複数の自転車を管理できるのも大きな特徴だ。ライド後のデータは、バックアップを兼ねてdailymileに転送して管理する。また、ライド・イベントでは充実したソーシャル機能を持つStravaを使うこともある。

soneru / LiveCycling
LiveCycling by soneru

ところで、特別な用途のためにアプリを開発したい場合には、BLEであれば、Bluetooth SIGなる標準化団体から、ANT+であればANT Wirelessから、プロトコルの仕様が提供されている。iOSではCoreBluetoothフレームワークを利用すれば、比較的簡単にセンサーの値を読み取れる。GitHubで検索して、オープンソースのコードを参考にできるし、各メーカーが提供するSDK(ソフトウェア開発キット)も利用できる。

BLEの仕様の中で、自転車に多く用いられるのは、ペダル・パワー(Cycling Power Profile/Service)、スピードとケイデンス(Cycling Speed and Cadence Profile/Service)、心拍数(Heart Rate Profile/Service)の3種類だろう。このうち、スピードとケイデンスはひとつの仕様にまとまっているので、Wahoo RPMのように、どちらかしかサポートしていないセンサーを用いる場合には注意が必要だ。

ble-specifications

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